2007年12月16日星期日

変わる価値観、日本の未来像は(2)

経済は真冬、実家へ逃げ込むパラサイトシングル

シム・シャオチェン 
前アジアネットワーク客員研究員(マレーシア・南洋商報コラムニスト)

銀座の高級デパート街を歩いていると、高値の高級ブランド品を気軽に購入する人の多くが20歳から30歳の若者であることに驚く。実際、若者たちの消費は収入を上回っていることが多い。このように贅沢を尽くせる裏には、頼れる存在があるからである。社会学者の山田昌弘・東京学芸大学助教授(46)は、未婚人口の急増を研究していて、いわゆる「パラサイトシングル」という特異な存在を発見した。

山田助教授は99年に『パラサイトシングルの時代』という本を出版した。以来、パラサイトシングル(Parasite single)という言葉は流行語となった。

パラサイトシングルとは、親元で生活し、自分の収入を自由に使って贅沢な暮らしをする独身族をいう。特に女性の場合は、大金を使ってブランドやファッションをたくさん購入している。

山田助教授によると、パラサイトシングルは、結婚相手がいないからシングルなのではない。ただ、いったん結婚したら、夫婦は1LDKに住み、収入が生活費に消え、お小遣いがほとんどなくなる生活になること、親元で生活するよりはるかに水準が落ちることを知っている。昔、カップルが結婚の話をする際、女性が求める条件は、毎月お小遣い5万円、年一度の海外旅行であった。しかし、現在では、日本が不景気に陥っているにもかかわらず、女性が求める条件は、毎月10万円、年二回海外旅行に格上げされているという。

生活水準の大幅ダウンを、女性は望まない。男性も自分の能力の限界を分かっていて、家庭を作るのをあきらめ、パラサイトシングルになって、恋愛を楽しむのだ。  山田氏は、「欧米では独身主義の人が多いが、彼らはだいたい一人暮らしをしている。親が子供を養う場合でも、自立が原則だ。日本の親は子供を可愛がりすぎる。そのことが、パラサイトシングル急増の主な原因だ」と言う。

パラサイトシングルの特徴は、固定収入を持っていても基本的な生活は親に頼り、自分自身は贅沢な消費をすることである。彼らにこのような環境を与える親は、主に50歳から60歳までの年齢層が多い。外の厳しい世界で、娘を低収入の男性に嫁がせ貧乏な生活をさせるより、自分のそばに置きたがる。パラサイトシングルは千万人を超え、男女の比例が3対7となっている。

山田氏はパラサイトシングルの問題をこう話す。「まず不動産だが、不景気で不動産価格が下落し、少子化によって人口が減少し、さらに格安の賃貸でもパラサイトシングルの結婚願望を刺激することができなくなったので、不動産家具などの国内消費も低迷している。

一方、パラサイトシングルたちが銀座でブランドやファッションをたくさん購入することは一つのブームで、日本がヨーロッパブランドの主要市場となっている。この市場は、90年バブル経済崩壊後も倍増し、消費の二極化現象が驚くほど進んでいる。さらに問題なのは依存主義の台頭」。

パラサイトシングルは、サラリーマン社会特有である。日本と同じようなパラサイトシングル現象が出始めているのは、韓国、ヨーロッパのイタリアとスペインであると山田昌弘氏は言う。これらの国は、日本と同じようにサラリーマン社会であり、パラサイトシングルの成長にいい環境がある。米英は子供の自立を促すため、似たような問題が起こらなかった。

山田氏は、男性は自立意識が強いため、収入が高ければ、結婚し家庭を作る人が多いが、女性は生活のために働く意識が薄く、高い収入を得ても、必ずしも家庭を作ることはせず、高級化粧品やブランドファッションなどをたくさん購入して、自身の物質的な欲望を満足させようとしている。

経済がよくなっても、パラサイトシングルの現象はまだ続くと予想されている。この世代の親が年を取り、パラサイトシングルたちの生存環境を提供できなくなれば、パラサイトシングルは消えていくだろう。40歳前後の世代の親は、自分の10代の子供が将来パラサイトシングルになってほしくないと話している。親の世話がなければ、独身者は自ら努力して自分の人生の道を歩まなければならない。

しかし、日本経済が真冬を経験しているいま、温室の中に育てられたパラサイトシングルたちには、外の世界に出て行く勇気がない。

*Posted to Asahi website on 2003/09/18.
(http://www.asahi.com/international/aan/kisha/kisha_015.html)

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