2007年12月16日星期日

変わる価値観、日本の未来像は(5)

日本は「唐様で書く3代目」で終わるか

シム・シャオチェン 
前アジアネットワーク客員研究員(マレーシア・南洋商報コラムニスト)

日本の新聞のいたるところ、「日本危機」「日本病」などの悲観的な表現が溢れている。多くの専門家たちが分析や議論をしているが、解決策はいまだに見当たらない。日本人はどのように自国の将来を見ているのだろうか。日本に、活力と魅力が戻ることはあるのだろうか。

・ 反省と改革のきっかけに
(西村和義・前菱金株式会社社長)

― ソウルで生まれ中学時代に日本に帰国した私にとって、韓国は第二の故郷である。日韓財団交流協力事業に参加して、毎月1回韓国を訪れているが、韓国人の楽観的な性格と日本人の悲観的な性格の違いを深く感じている。

― 韓国は97年にアジア金融危機に陥り、道を走る自動車の数が大幅に減るほど、経済の低迷状態が続いていた。その頃、IMF(国際通貨基金)の文字がいたるところにあった。しかし、わずか2年後には、路上は再び自動車で溢れ、繁栄が戻り、IMFの文字も消えた。韓国ウォンも上昇し、町に活力が戻った。その要因は、「官民一心」であると多くの人が言うが、私は、韓国人の「kenchanaiyo」(大丈夫)という心理が大きな役割を果たしたと思う。

「kenchanaiyo」という心理はそもそも反対されることが多いが、金融危機の際には奇跡的な役割を果たした。日本人が経済の将来を心配しなかなか消費に向かわないとき、韓国人は「kenchanaiyo」の心理を保ちつづけ、消費を続けていた。各地のデパートも非常ににぎやかで、こうしたことが実体経済の回復に積極的な役割を果たし、良い循環を生み、韓国経済をわずか二年間で回復させた。

― 近年、私はよく中国に行って、この大国の高度経済成長を自分の目で見ている。中国が若者や女性を発展の原動力としてうまく活用する点は日本にとって学ぶべきところだ。中央指導者の若返りも実現しており、民間もしかりである。

私は実際に29歳の小学校の校長と30歳の工場長に会ったことがある。女性も大学の教授や記者、建築家など様々な分野で活躍しており、夫と一緒に共働きで家計を維持している。

― 戦後日本経済の成長はテンポがあまりにも早かった。現在、日本経済はようやく正常な軌道に戻った。しかし、目標を失い、若者も夢を持っていない。今後の目標や方向を真剣に考えなかればならない。経済停滞を危機としてみるのではなく、反省と改革のきっかけと見なければならない。島国で単一民族であることや、国民義務教育と技術のレベルの高さが日本の強みである。

― いまは分業の時代。国際化を実現するためには、規制緩和が日本にとって急務である。日中韓が協力して東南アジア諸国とともに成長することにより、地域の繁栄がはじめて可能となる。

・ 今後10年もリーダーであろう
(林華生・早稲田大学アジア太平洋研究科教授)

日本経済は12年間も停滞しているが、政府や専門家たちはその原因をいまだに見つけていない。現在、解決しなければならない課題は、(1)金融機関の不良債権、(2)デフレ、(3)国内消費の刺激と内需の拡大である。

― 政府はインフレ・ターゲット政策を採らなければならない。まず2、3年以内に紙幣を発行し経済を刺激すべきである。現在、日本人は更なる不景気を心配し、なかなか消費をしようとせず、買い物する人も少なくなった。そうすると、企業と工場の売り上げも減り、労働者の給料も減り、さらに消費が減少する。こうした悪循環が経済不景気の主な原因である。

― 日本の国民資産は1440兆円であるが、銀行の利子はわずか0.01%に留まっている。政府の国債の利子は0.09%であるが、国民はお金を家においたり、多くのお金を海外の銀行に預けたり、または外国の国債を買うことによって、高額の利子を得ている。よって国内資金は外へ流出する。

― 子どもの教育費や人口高齢化問題で、将来に不安を感じるため、お金を貯金する人が多い。いかに消費させるかが、大きな課題である。

― ここ12年、日本経済の成長のテンポは従来ほどではないが、完全に停滞したわけでもない。GNPは増加しており、失業率はわずか5.6%、欧米の国々の2桁失業率よりずっと良い状況にある。外貨預金やODAなどの分野においても、先進国の中でトップレベルである。特に、技術の基礎が深く、レベルが高い。

― 日本の政府と専門家は議論をするが、行動に移すことが少ない。常に意見の一致を求め、決定するに非常に時間がかかり、優柔不断である。経済を救うため、市場を開放するのは避けられない。中国やアメリカなどから安価な製品を輸入し消費を刺激することは、経済の良い循環を促すことになる

・科学技術で経済不振を救う
(陳超・中国科技日報東京支局長 )

― ここ12年、日本経済の成長率は低かったが、経済の規模が大きいため、まだ大きな打撃を受けていない。「痩せて死んだ駱駝でも馬より大きい」ということわざがあるが、私は個人的には日本のマクロ経済の将来は楽観的に見ている。

― 日本の工業力の基礎は大きな打撃を受けてはいない。国からの科学技術研究への投資が非常に大きい。また、企業の研究開発も70%を占めている。今後、科学技術は日本経済を牽引することとなる。

現在、もっとも注目されるのがナノ(100万分の1メートル)の技術である。この技術はハイテク製品に使われるが、日本はこの分野での研究開発はアメリカと肩を並べている。そのほか、バイオ・テクノロジー、IT技術や環境科学などの分野でもすぐれた成果を挙げている。

― 日本の科学技術研究の整備は非常に整っている。現在、政府が研究所を独立法人に変え、研究員の創造力を育成しようとしている。以前は研究員の給料がほぼ変わらず、競争があまり激しくなかったが、近年、競争制度が導入され、優秀な研究員が表彰されるようになった。給料の差がまだ大きくないが、今後もっと大きくなることは明らかである。

― 技術は日本第一の生産力である。現在はまだ目に見えていないが、10年後、必ず日本経済を窮地から脱出させるだろう。

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A君は子供の頃から良い子で、一生懸命勉強して一流大学に入学した。大喜びした親がA君のどんな要求にも必ず応じる。入学後、A君は勤勉ではなくなった。親が怒って時々しかるものの、結局は仕方なくお小遣いをあげていた。

日本は学歴社会であるため、A君は簡単に一流企業に入社した。そんなに真面目に仕事せず、小遣いを親からもらっている。大学卒業10年も経ったが、A君は「パラサイト・シングル」となり、親の財産を食いつぶし続ける。

日本経済もA君と似ている。戦後、日本全国が一心に努力し、経済の奇跡を作った。経済大国に成長したが、世の中を甘く見るようになり、やがてバブル経済が崩壊した。企業と銀行は再生に向けて力強く歩み出すほどのエネルギーを持っていない。政府も問題の所在を知ってはいるが、抜本手術の決断できず、相変わらず公費を小出し投入している。バブル経済が崩壊して10年、政府、企業及び政治家はパラサイトになってしまったと言える。このような状況が続くと、国民の貯蓄も底をついてくるだろう。
経済の低迷によって日本人は方向性を失った。将来に対しても極端に悲観的となった。

私は朝日新聞アジアネットワークでの研究中に、20歳から30歳までの若い世代を対象にアンケート調査を行った。日本経済が何年ぐらいで復活できるのかという質問に対し、3年から5年と答えた人は5%、5年から10年と答えた人は18%、10年以上かかると答えた人は77%であった。逆に、外国人は日本経済を楽観的に見ている。経済データを引用して日本は相変わらず経済大国であることを示す。

日本人は経済の見通しが明るくないため消費をしない一方、多額のお金を海外に持ち出している。末世心理が明らかである。かといって、危機感が強いわけではない。考え方は自分中心である。短期間で国の将来が明るくないと思う割合は、日本人が27%、韓国人が9% 、中国人が8% である。しかし、「個人的には大きな問題がない」と思う日本人は43%である。つまり、悲観的であるが、個人と家族の生活さえ良ければ悩みがないということである。

別の調査によると、日本人がもっとも誇りに思うのが科学技術(60%)。一般的に政治の力が弱いと思う人は62%である。また、求人や就職の価値観も変化してきた。「終身雇用」や「年功序列」などの伝統的な労使関係は崩れ、「鎖国」政策も国際化の流れに影響を受け、規制緩和をせざるをえなくなった。「人材開国」政策を実施し、外国人の人材の日本への移民を奨励し、改革を加速させ、多元化価値観の社会作りに取り組んでいくしかないように見える。だが、日本社会は「行動不況」に陥っている。「言論の巨人、行動の小人」。議論はするが決断はしない、決定はするが行動に移さない、行動に移すまでかなり時間がかかる。マハティール首相は日本を「反面教材」とみなした。これからマレーシアは日本から何をどのように学んでいくのだろうか。

*Posted to Asahi website on 2003/09/18.
(http://www.asahi.com/international/aan/kisha/kisha_015.html)

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